壱、右翼の定義
右翼と呼ばれる結社のすべてに近い多くは皇室敬載を本義の第一義としている。
そして、共産主義・社会主義の打倒撲滅を目指している。
民族の伝統・文化の護持と外来・変質文化・思想への警戒。
しかし、その主義、その思想、その主張は幅広く親米とヤルタポツダム体制打破の様に真逆のモノも多いため右翼は一人一党と言われる由縁でもある。
右翼と思われた人々は、多士済々である。
右翼の源流と思われている頭山満翁、
血盟団事件・神兵隊事件等の黒幕と呼ばれた内田良平翁、
血盟団事件首謀者の井上日召先生、
大陸浪人で馬賊の頭目となった伊達順之助氏、
満蒙独立運動の先駆者であった川島浪速氏、
辛亥革命を支えた革命家の宮崎滔天先生、
大隈重信公爆弾暗殺未遂事件の来島恒喜烈士、
安田善次郎暗殺事の朝日平吾烈士、
大本教祖であった出口王仁三郎先生、
二・二六事件の理論的指導者で刑殺された北一輝先生、
民間人としては唯一A級戦犯の容疑で起訴された大川周明博士、
神権学派の憲法学者の高畠素之先生、
皇国史観の代表的な歴史家の平泉澄先生、
日本国体学の創始者の田中智學先生、
国体学の創始者の里見岸雄先生、
戦後の右翼思想にも影響を与えた石原莞爾陸軍中将、
東方会総裁であった中野正剛衆議院議員、
安倍首相の祖父で妖怪と呼ばれた岸信介元首相、
濱口雄幸狙撃事件の佐郷屋留男氏、
五・一五事件の指導者であった藤井斉氏、
五・一五事件及び三無事件の三上卓氏、
五・一五事件や血盟団事件の被告弁護にあたった太田耕造弁護士・亜細亜大学学長、
室町将軍と呼ばれた戦後最大のフィクサー三浦義一翁、
ロッキード事件で表舞台に現れた児玉誉士夫先生、
国士舘大学創立者の柴田徳次郎館長、
元号法制化を訴え割腹後に散弾銃自決した大東塾の影山正治先生、
三浦義一直系の活動家で興論社社主の関山義人先生、
最後の黒幕と言われた西山廣喜先生、
「人類みな一家族」のスローガンで有名な笹川良一氏、
元キャノン機関員で愛国戦線社の星井真澄氏、
児玉系右翼の理論家で日本青年講座の白井為雄先生、
戦前戦後を通じて右翼理論家の大家であった中村武彦先生、
関西右翼の巨頭であった吉田益三氏、
国家社会主義者の津久井龍雄氏、
大日本愛国党の赤尾敏初代総裁、
浅沼稲次郎刺殺事件の山口二矢烈士、
小説家で楯の会を作った三島由紀烈士、
陸上自衛隊東部方面総監室割腹自刃の森田必勝烈士、
朝日新聞東京本社内で拳銃自決した野村秋介烈士、
割腹自殺を遂げた元日本学生同盟委員長の三浦重周烈士。
主義主張も多岐に別れ、民族主義、国体主義、日本主義、精神主義、大アジア主義、国粋主義、超国家主義、国家社会主義等がある。
簡単に定義しきれないほど複雑な糸絡みの様な雑多な要素の連結であり、皇室・反共以外は単純にはひと括りは出来ない。
民族主義
西洋列強の日本支配に対抗する尊皇攘夷運動を源流とし、民族自決の精神を掲げ他国家(米中露)の干渉を排除する運動。
大アジア主義
頭山満等がアジアとの連帯を目指し、欧米列強の脅威からの脱却を思考したが、後日清戦争に平和協調路線を放棄し日本が盟主となる侵略型となった。
国粋主義・国家主義
自国民および自国の文化・伝統を他国より優れたものとして,排外的にそれを守り広げようとする考え方。
国家社会主義
日本的国家社会主義とは、天皇を中心として社会主義の一部を取り入れ、国家をより強靭な体制につくりかえようと北一輝を中心に思考した。
弐、右翼にバイブルは必要か?
共産主義には『資本論』という理論のバイブルがある。 よく右翼には理論のバイブルがないと言われるが、北一輝の「日本改造法案大綱」によって昭和維新(戦前右翼)のバイブルが誕生したと言える。 しかし国体の本義に基づく右派・維新派・民族派に細かい理論がはたして必要であろうか? 万世一系の天皇のもと日本古来の文化・風習・道統を守っていくことこそが役目ではないであろうか。 |
![]() 北一輝 |
机上の空論でしかない世界の社会主義国の末路を見れば理解でき、実践の中にこそ活路を見いだしていく道もまた正論であろう。
愛国運動に挺身するには、気紛れだけでは続けられない。
広い知識と修養が必要である。 思慮深く見識を養いの誠意を持ち気迫を保ち続けなければならない。
日本国体の本義である万世一系で連綿と天皇陛下を尊崇し、我が国独自の伝統や文化のもつ精神を基礎として国家の繁栄を目指す運動に挺身する実践活動を通じて多くを学んでいくべきである。
参、保守中道と反動
保守・中道は現在の体制や秩序を重んじ、反動である右翼は、過去の情勢や体制に美意識を見出し復古を目指すと言われてきた。 反動である左翼は、過去から続く伝統や今成り立っている現実を軽蔑し現実や過去を否定することで根拠なきより良き未来に夢を見る空中楼閣を作り上げようとしている様なものである。
世界情勢・国民生活等が急激に変化している現在において国民意識の変化も当然の状況である。 社会変革・社会改革を漸進的に進める手法を選ぶ保守派と対峙する勢力は急進的・革命的手法で国家改造を行おうとしたのである
平成二十七年如月 鈴木誠厳