壱
無念の歯がみこらえつつ
待ちに待ちたる決戦ぞ
今こそ敵を屠(ほふ)らんと
奮い起ちたる若桜
弐
この一戦に勝たざれば
祖国の行くていかならん
撃滅せよの命うけし
神風特別攻撃隊
参
送るも往くも今生(こんじょう)の
別れと知れどほほえみて
爆音高く基地をける
あゝ神鷲の肉弾行
四
大義の血潮雲そめて
必死必中体当り
敵艦などて逃(のが)すべき
見よや不滅の大戦果
五
凱歌はたかく轟けど
今はかえらぬ丈夫(ますらお)よ
千尋(ちひろ)の海に沈みつつ
なおも皇国(みくに)の護り神
六
熱涙伝う顔あげて
勲をしのぶ国の民
永久に忘れじその名こそ
神風特別攻撃隊
壱
吹けよ吹け吹けメリケン嵐
どうせ浮雲迷い雲
大和島根は揺るがぬ島根
吹くぞ神風敵を呑む敵を呑む
エイ エイ エイ
弐
響け轟け癇癪弾丸奴
どうせ外れ弾丸迷い弾丸
もぐらちょいと出てちょい首傾げ
雨が降るよな星かいな星かいな
エイ エイ エイ
参
敵の自慢のへなへなトンボ
叩き落して粉微塵
親子三代念願掛けて
剥いて潰すぞ鬼の面鬼の面
エイ エイ エイ
四
眉も動かぬびくともせぬぞ
何のこれしき朝風
肝の太さを見て肝潰せ
昇る朝日を見て拝め見て拝め
エイ エイ エイ
壱
燃料片道 テンツルシャン 涙で積んで
行くは琉球 死出の旅 エーエ 死出のたび
弐
地上離れりや テンツルシャン この世の別れ
想ひだします 母の顏 エーエ 母の顏
参
雨よ降れ降れ テンツルシャン せめても雨よ
整備する身の この辛さ エーエ この辛さ
壱
男なら 男なら
未練のこすな 浮世のことは
花は散りぎわ 男は度胸
胸に爆弾 抱いてゆけ
男なら やってみな
弐
男なら 男なら
女ひとりに くよくよするな
広い世間に 眼をひらきゃ
何処もかしこも 花盛り
男なら やってみな
参
男なら 男なら
翼のばして ブンと飛びたちな
どんと当たって 砕けてとべば
香る九段のさくら花
男なら やってみな
四
男なら 男なら
敵の戦艦 何隻来よと
敵の空母が 海うめようと
大和魂の 敵じゃない
男なら やってみな
壱
小山のうねり砕けて返る
征かば還らぬ特攻隊
十九(つづ)や二十の若人が
港徳山大津島
ああ回天の基地なるか
弐
貴様と俺は同志の桜
涙浮かべて歌いしも
二度と逢えない戦友に
別れを告げて勇み立つ
ああ回天は出でて征く
参
遺書を残して形見を置いて
今日は征くぞと肩を抱き
白の鉢巻白だすき
呼べど呼べども ああ回天
あ回天は還らない
あ回天は還らない
壱
戦雲暗き沖縄の
山野は今ぞ火と燃えて
頼むは哀れ特攻の
忠と義に散る戦果のみ
弐
突如と降りる大命は
第二艦隊出撃と
ただ片道の燃料と
征きて帰らぬ死出の陣
参
戦艦大和先頭に
矢矧八隻の駆逐艦
これぞ日本海軍の
最後を飾る精鋭ぞ
四
故国の桜後にして
一途に向かう沖縄島
四月七日の海空戦
南の海は血と炎
五
伊藤長官見送りて
剛勇有賀鬼大佐
激戦苦闘力尽き
莞爾(かんじ)と笑みて職に死す
六
ああ三千の武士(もののふ)の
御霊(みたま)は永久(とわ)に帰らねど
誠忠義烈後の世の
鑑(かがみ)と高く仰がれん
壱
或(ある)晴れた日に俺は死ぬ
空の緑に解けてゆく
その時俺は恋人の
名前をそっと呼ぶだろう
弐
もし貴様より此の俺が
先に死んだら頼んだぞ
此の髪の毛のひとつかみ
送ってくれよ故郷へ
参
ああもう一度お母さん
会ってお別れしたかった
巡検ラッパ聞く度に
明日を捨てて散るを待つ
四
ただ一筋に靖国の
宮に続いている命
いつでも俺を呼んでくれ
霞ヶ浦で待っている