
西南戦争最大の激戦地、田原坂に着いた時はもう日暮れに近かった。田原坂西南戦争資料館が閉館する間際で、かろうじて同館の資料を頂いてきた。


資料館のそばには有名な「弾痕の家」がある。おそらくは土蔵だった建物だが、弾丸によって穴だらけになっており、当時の戦闘の激しさを物語っている。
田原坂は、玉名と熊本を結ぶ幹線道路で道幅は4メートルあるが、西郷軍が地形を利用した一大陣地を築いて猛攻を加えたため、政府軍はなかなか突破できなかった。
それでも包囲されて水攻めされた熊本城を解放するために突破しなければならない。
政府軍は、一万数千人の兵隊で田原坂の突破を試みた。
一の坂は突破したが、二の坂にかかると、西郷軍が道の両側の高所から猛射し、死傷者が続出して進めなかった。
死闘は17日間に及んだが、そのうち西郷軍は、弾薬が欠乏し石を投げつけたり、白刃を振って政府軍陣地に飛び込み、銃を奪って射撃するなどした。
兵器に劣る西郷軍は、精神力で奮戦した。
しかも連日雨だった。地元では、「雨は降る降る、人馬は濡れる、越すに越されぬ田原坂」という唄が流行ったが、越されぬのは政府軍の方だった。
最後に政府軍は、奇襲作戦に出て突破するのだが双方の軍の死者は二千四百人に及んだ。
戦争全体の死者の四分の一がこの戦いで亡くなった。
北面武士
※熊本市田原坂西南戦争資料館
【所在地】熊本市北区植木町豊岡858-1
【問合せ】096-272-4982
【定休日】12月29日〜1月3日
【時 間】9時00分〜17時00分(入館16時30分まで)